「大学・大学院では研究室に所属していたけど、就職後はどんな職種にしよう?」と悩んでいる理系就活生向けの記事です。
- 誰もやったことがない新しい分野の研究が楽しい
- 民間企業で研究室と同じ分野の研究に携わりたい
- 研究はもういいかな。製品化する設計職に興味ある
- 地図に残るようなプラントを作りたいので、生産技術職かな
など、一口に理系職といっても仕事内容は大きく変わり、就活生は自分がどの職種を目指すのかを明確にすることが大切です。
今回は、「研究開発職」「設計職」「生産技術職」3つの職種に焦点をあてて、仕事内容や専攻別の入社難易度などをご紹介します。
これから働くうえでどんな仕事をしようか迷っている方は、是非参考にしてください。
理系職種の仕事内容とは?
研究開発職
理系職種の花形ですね。「メーカーで働いています!」といえば、研究開発職をイメージする人も多いのではないでしょうか。
仕事内容は大学での研究活動に似ていて基礎研究が中心になります。所属部署や上司が研究テーマを決めて、日々実験やシミュレーションを行い、結果が出たら分析および考察。
研究内容がまとまったら、学会参加や論文投稿を行い、成果を世の中に発表します。
また、企業によっては、研究職と開発職が別担当のこともあります。
開発職の主業務は、研究職がまとめた基礎研究の結果を踏まえて、製品化への応用を検討することです。
設計職
メーカー企業での心臓部門ともいえる「設計職」ですが、具体的な仕事内容を知っていますか。
一言でいえば、研究開発で得た知見をもとに、商品の企画、設計、量産化を担うのが設計の仕事です。設計の業務にあたっては、たくさんの関係者と調整しながら、期限が決まっている仕事を処理することが大切です。
設計職の社員が関わりそうな人はざっとあげただけでも、こんなにいます。
- 研究開発部門
- 商品企画部門
- 営業部門
- 営業先のお客さん
- 他企業の設計部門
たくさんの関係者を調整しながら業務を遂行するため、板挟みになることが多く苦労する話をよく聞きます。
また、新商品を出すときには発売日が決まっているなど、期日がきっかりと決まった仕事が多いです。
納期には絶対に遅れることができないため、スケジュール管理能力が重要といえます。
ここまで設計職の大変な面ばかり強調してしましました。
ですが、冒頭でも説明した通り、メーカーの心臓部門ともいえる設計職の醍醐味「自分の担当したものが商品化されたときの喜び」は計り知れないはずです。
生産技術職
プラントエンジニアリングともいわれる「生産技術職」。
地図に残るような大きい仕事をしたい!という熱い気持ちをもつ就活生にとっては魅力的な職種です。
生産技術職の主な業務はこんな感じです。
- 工場の日々の運用・保守管理
- 生産設備の大規模な改修工事
- 新規生産ラインの立ち上げ
- 工場の新設・撤去
生産ラインを持つ工場では、製品の安定供給が最重要です。
設備が古く劣化が激しい工場では、トラブルがつきものであるため、どれだけ迅速に対応できるかが腕の見せ所です。
大規模設備では、生産ラインを少しでも止めてしまうと莫大な損失につながってしまうため、ミスがゆるされない重要なポジジョンになります。
また、世界的に有名なメーカーでは、生産コストの安い海外に工場をもっているため、グローバルに活躍したい、海外出張をしたい方には絶対におすすめです。
大学・大学院の専攻別の採用難易度の違いとは?
ここまで「研究開発職」「設計職」「生産技術職」の仕事内容を紹介しました。ここからは、大学で学んだ内容がどのように仕事に活かせるかを専攻別に説明します。
機械系・電気系
「機電系」といわれ、メーカーでの就活では引く手あまたの専攻になります。
生産技術職として、工場で働く場合には機械メーカー、重電メーカー、弱電メーカーに就職する学生が多いです。
トヨタ、三菱重工、日立製作所、キヤノンなど、知名度抜群のメーカーであるため、入社までの競争倍率は相当高いです。
一方、ホワイト企業へ就職する確率をあげるためには、化学メーカーの生産技術職を考えてみてはどうでしょうか。
旭化成、信越化学、三菱化学など、超大手企業で福利厚生もしっかりしているにもかかわらず、機電系の就職倍率はそれほど高くはありません。
工場を稼働するためには、機電の知識と経験は必須であるため、化学メーカーでの活躍のフィールドは多岐に渡ります。
また、設計職、研究開発職としての就職を考える場合には、専攻に沿った形で機械メーカー、重電メーカー、弱電メーカーの選考を受けてみましょう。
化学系
大学・大学院での専攻が化学系の場合、「生産技術職」「設計職」「研究開発職」に関わらず、就職するのは化学メーカーが多いです。
機電系と比べて、研究開発職の割合が多くて生産技術職として活躍する人は少ないイメージです。
プラントエンジニアリング業界へ就職する場合は、施工管理や現地試運転の立ち合いといった業務が中心になるため、どちらかと言えば生産技術職として活躍できるはずです。
勤務時間の違いとは?
ここからは、「研究開発職」「設計職」「生産技術職」それぞれの働き方の違いをご紹介します。
就職する際には、仕事内容はもちろんですが、残業時間、休みの取りやすさなども検討することをおすすめします。
研究開発職
研究開発職は基礎研究や製品化を担当するので、すぐに結果が出ないことがほとんどです。
テーマによっては、何十年先の新規事業に向けた研究を行います。
数十年後の新規事業に向けた基礎研究を行うため、納期に追われるような生活を繰り返すことは少なそうです。
ただ、研究成果の集大成として論文作成や学会発表の準備前は、相当忙しくなるので覚悟が必要です。
理系学生の研究室生活と同じ感じですね。
働き方としては、目の前の業務に日々終われることは少ないですが、結果が出ずに先が見えない不安は常に付き物です。
研究職は楽観的、よく言えばポジティブに考えられる人向きです。
仕事中は「失敗して当たり前。過去の失敗をどう活かすが大切。」くらいの気持ちで取り組む姿勢が大切です。
色々なポイントがありますが、まとめると研究開発職は「目先の結果にとらわれずに、失敗にもめげない強い精神を持つ人」が向いていると思います。
生産技術
生産技術職は他職種とくらべて残業時間が短いといえます。
工場や生産設備の運用保守を担当するため、目立ったトラブルが無ければ定時退社もできます。
ただ、問題が発生した時には処理するまで帰ることができず、深夜まで残業が続くということも…
古い工場ではトラブルが頻発するため、恒常的に残業する必要があります。
また、工場は土日関係なく稼働するため、休日出勤があることは覚悟したほうがよさそうです。
設計
設計職は「たくさんの関係者と調整しながら業務を遂行する」ため、研究職と生産技術職の板挟みになりながら、仕事を進めます。
そのため、自分だけの都合で業務を進めることは難しく、相手の都合に合わせていると結果的に残業が多くなってしまいます。
ただ、不確実なトラブル対応などは少ないため、急な土日出社は無いといえます。
勤務地の違い
理系職と言っても仕事内容は様々ですね。ここからは、各職種が配属される可能性が高い勤務地に関してご紹介します。
一言でまとめるとこんな感じになります!
- 生産技術職:地方工場
- 研究職、設計職:地方工場、一部都内勤務
生産技術職については、田舎にある地方工場で働きます。考えてみれば、都会には大規模な工場ってないですよね。
研究職・設計職は企業によっては都内に研究所を持っているため、都会勤務に就けるかもしれません。ただ、部署によっては地方工場配属の可能性も十分ありえます。
理系出身が地方行くと大変
各職種が配属されるであろう勤務地を紹介しました。
勤務地については、入社前段階から「転勤の有無」「地方配属の可能性」を知ることができます。
就活生自身が何を重視するべきかを明確にするのが大切です。
覚悟しないまま理系学生が地方勤務になったときの苦労をご紹介します。
娯楽・出会いが少ない
学生時代を大都会で過ごした人は、まず娯楽の少なさにビックリします。
- 居酒屋が少なすぎていつも同じ店を使う
- 休日に出かける場所がない
大変な研究室生活を乗り越えて就職したのにこんな生活では退屈ではないでしょうか。
休日ライフも満喫したい!と考える人には、田舎勤務はおすすめできません。
また、異性との出会いの場が圧倒的に少ないことも知っておいたほうがいいですよ。
「学生時代からお付き合いしている人がいるから心配ない」って方も、就活して新しい生活環境になると、変わるかもしれません。
社会人になったのだから、「彼氏・彼女がほしい!」っていう人には、田舎生活は向いていません。
車が必要なため数百万円の出費
地方工場や研究所は広大な土地につくるため、アクセスの悪い場所にあることがほとんどです。
ということは、車通勤をしなければいけません。
新社会人が車を買うための数百万円の出費は相当痛手になります。
車通勤のすべてが悪いということではありません。
やはり都内の満員電車を経験した人ならわかるけれど、あの殺伐とした雰囲気を毎日感じなくていいのは羨ましいですね。
研究・生産技術・設計の採用人数について
では実際の各職種の採用人数ってどのくらいなのでしょうか。
もちろん企業によって異なりますが、研究職は少なく、生産技術職・設計職は多めに採用することが多いと思います。
理由としては、研究職の業務は将来への投資ということもあり、積極的に新卒採用を行うのは稀です。
大学での研究室と同じ分野に進む学生、分野は違っていても論文投稿や学会発表を研究した研究成果を残した学生向きです。
設計職は製品や部門ごとに採用する企業もあり、業務範囲が多岐に渡ることから比較的採用人数が多めです。
生産技術職の採用人数は研究職と設計職の中間くらい。実際の現場監督は高専卒や専門卒の社員が担当するので、大卒・院卒社員は管理ということもあります。
入社後に必要な資格について
入社後に必要な資格があるかどうかは、残業時間や休みの取りやすさにも関係します。
資格所持者でないと業務に携われないといった場合だと、入社後はずっと資格勉強になることもあります。
もちろん平日で足りない分は土日に勉強する必要がでてきます。
ここからは、各職種での資格の必要性をみていきましょう。
まず研究職では学歴が非常に大切になります。大企業では修士の学歴が最低ライン。
博士号をもつ学生もバンバンいるのが現実です。さらに、論文投稿や国際学会での発表経験、TOEICスコアなども重視されます。
つぎに、設計職では製図経験があるかが重要です。
大学での講義や研究活動でCADを使ったことがある就活生は積極的にアピールしましょう。
最後に、生産技術職は入社前に必要な資格はとくに必要ありません。ただし、入社後は業務に携わるために必須な資格を取らなければいけません。
たとえば、ガスを扱うための資格、石油を扱うための資格、電気を扱うための資格など。
しかも1級・2級・3級などに分かれていることもあり、数年計画で取得する必要があります。
このため生産技術職志望の学生には、勉強好きな方が向いています。
まとめ
就職後はどんな職種にするか悩んでいる就活生向けの記事を書きました。
いかがだったでしょうか。理系就活生は選択肢が広くて、迷うことも多いと思います。そんな時に少しでも役に立てればと思います。