グローバル・高給・ホワイト企業への就職を目指す就活生必見の「石油開発業界」「プラントエンジ業界」。
今回は石油開発業界の「INPEX、JAPEX」とプラントエンジ業界専業3社の「日揮・千代田・東洋」の違いを「ES・面接対策・規模・業務内容・勤務地・給料」の点から解説します。
規模の比較
はじめに、石油開発業界とプラントエンジ業界の規模の違いをざっと比較するために、5社の「売上」「売上利益率」「従業員数」をまとめました。
INPEX | JAPEX | 日揮 | 千代田 | 東洋 | |
業界 | 石油開発 | 石油開発 | プラント | プラント | プラント |
売上(百万円) | 971,388 | 267,980 | 619,241 | 341,952 | 294,993 |
利益率(%) | 9.8 | 5.5 | 3.8 | ▲6.2 | ▲0.2 |
従業員数(人) | 3,118 | 1,741 | 7,841 | 5,243 | 3,997 |
業界別に見ると、全ての項目で大小関係が一致していますね。
石油開発業界で比較すると「INPEX>JAPEX」、プラントエンジニアリング業界で比較すると「日揮>千代田>東洋」。
石油開発業界は、「圧倒的に売上利益率が高い」こともわかります。
INPEXの利益率は日系企業の中でも抜群の数字です。
石油開発とプラントエンジの間で利益率が違うのは、次の項目で紹介する業務内容の違いが最大の原因です。
石油開発の業務内容
まず、石油開発の業務スパンは非常に長く、数十年かけて1つのプロジェクトを完結することを覚えてください。
このため、仕事内容も長期的な視野を持って進めるモノが多く、目の前の業務に追われることが少ないと世間には認識されています。
INPEXやJAPEXが超ホワイト企業といわれる理由はここにあります。
しかし、石油開発の仕事内容は、1回の杭打ち(石油が埋蔵するかの確認作業)で数十億円が吹き飛ぶことからも、非常にプレッシャーのかかる仕事です。
また、原油価格の暴落によって、業績が悪化する可能性もあります。
石油開発の主な業務フローはこんな感じです。
- 調査・鉱区取得
- 探鉱・評価
- 開発
- 生産
調査・鉱区取得
まず、最初の「調査・鉱区取得」で世界中のどこに、どれくらい石油・天然ガスが埋蔵しているかを調べます。
次に、十分な埋蔵量が見込まれる場合、鉱区取得を行います。
鉱区取得とは、石油・天然ガス開発の権利を得ることで、オークションのように1番高い金額を掲示した人・国・企業が権利を得ます。
探鉱・評価
鉱区取得後に、具体的な埋蔵量調査や、杭打ちの場所を決めるための地質調査を行います。
開発
開発段階では、「石油・天然ガスを地下から掘る設備」「掘り当てた資源を輸送するパイプライン設備」「石油・天然ガスの貯蔵設備」などを建設します。
この、開発フェーズでは「プラントエンジニアリング業界」と協力して作業を行います。
生産
最後の生産段階では、建設後の設備をフル稼働して、石油・天然ガスを国や企業に供給します。
石油開発業界にとって、一番の稼ぎ頭がこの生産フェーズであり、生産フェーズがあるからこそ「桁外れの高利益率」が実現可能になります。
利益の観点からも最も重要なのが、生産フェーズであり、稼働期間は何十年にも及びます。
設備の劣化防止や、稼働率向上を目的とした増強工事を行いつつ、長期間高い収益を生み出します。
そして、最終的には生産設備の解体・撤去を行うことも、石油開発業界の仕事です。
プラントエンジニアリングの業務内容
石油開発業界の業務内容でも説明たように、プラントエンジの仕事は、「開発フェーズにおける各種設備の建設」です。
業務フェーズを3段階に分けた際に
- 設計:Engineering
- 調達:Procurement
- 建設:Construction
それぞれの頭文字をとってEPC事業と呼びます。
設計(Engineering)
顧客が提案した基本設計に基づき、安全性や機能性を考慮しながら詳細設計を行います。
3D-CADや専用ソフトを使いながら、配管や各種機器の干渉を未然に防ぎつつ、具体的な仕様を図面に落とし込みます。
また、設計業務は国内の本社で行うことが多いですが、設計後の試運転の段階では国内外を問わず、設計担当が現場で確認をします。
調達(Procurement)
設計を基に資材の搬入や設置を行います。
調達の仕事とは、
- 適切な価格
- 適切な量の資材
- 適切なタイミング
を考慮して資材を搬入することです。
プラント建設においては、資材搬入の遅れや在庫発生は大きな損害をもたらすので大切な工程になります。
建設(Construction)
建設フェーズでは、工事計画の立案や現場担当業者と共に建設場所の事前調査を行います。
そして、工事開始後は、現場の指揮監督や、スケジュール調整が主な仕事になります。
建設場所が海外の場合には、数ヶ月常駐して作業に取り組むのが一般的です。
立場の違い
2つの業界が関わるプロジェクトは規模が非常に大きいため、複数の業界・企業が協力します。
今回は、その中でも「石油開発業界」と「プラントエンジ業界」の関わり方に焦点を当てて解説しています。
立場上の違いでは、石油開発業界が発注、プラントエンジ業界が受注になることがほとんどです。
このため、納期や価格の交渉面では石油開発業界に分があります。
キャリアステップの違い
「石油開発」「プラントエンジ」ともに、自分の専門性を追求するキャリアステップを歩むのが普通です。
石油開発業界
石油開発の専門分野は、各フェーズごとに「探査・掘削・開発・施設・生産」があります。
プラントエンジニアリング業界
プラントエンジの専門分野は、プロジェクト全体を統括する「プロジェクトマネジメント」かプロジェクトの一部を担当する職種に別れます。
大学での専門を軸として「プロセス・配管・回転機器・電装」などの専門分野を持ちます。
勤務地の比較
グローバルで活躍する機会が多い、「石油開発業界」「プラントエンジ業界」ですが、国内の勤務地はどこにあるのか知っていますか。
全社員が海外勤務できるわけではないのだから、国内の働く場所についても理解しておくことは重要です。
INPEX | JAPEX | 日揮 | 千代田 | 東洋 | |
業界 | 石油開発 | 石油開発 | プラント | プラント | プラント |
勤務地 | 東京・新潟 | 東京・北海道・秋田・新潟 | 神奈川 | 神奈川 | 千葉 |
国内勤務地を比較すると、石油開発業界は国内の生産拠点・操業地点をもっているため、東京以外に勤務地する可能性も十分あります。
一方で、プラントエンジ業界は国内の勤務地は本社の可能性が高いです。
しかも、神奈川・千葉といった都会なので、国内の転勤生活に抵抗がある就活生には好条件かもしれないです。
給料の比較
言わずと知れた高給業界ですが、改めて平均年収を比較してみます。
INPEX | JAPEX | 日揮 | 千代田 | 東洋 | |
業界 | 石油開発 | 石油開発 | プラント | プラント | プラント |
平均年収(万円) | 915 | 837 | 956 | 895 | 717 |
「JAPEX」と「東洋エンジニアリング」が残りの3社と比べて若干少ないですが、他業界と比べるとそれでも平均年収は高めです。
「INPEX」「日揮」「千代田」については、日本屈指の高給企業です。
ES・面接でのアピール方法
最後に、「石油開発業界」「プラントエンジ業界」の「規模・業務内容・キャリアステップ」の違いを踏まえて、ES・面接でのアピール・対策方法を紹介します。
石油開発業界への対策
石油開発業界の面接では必ず、「プラントエンジとの違いを理解しているか」「なぜ、プラントエンジではなく、石油開発を志望するのか」を問われます。
筆者の場合、1次面接、2次面接、最終面接、全ての面接で聞かれました。事前に準備しておきましょう。
参考までに石油開発の魅力を紹介します。
石油・天然ガス開発の幅広いフェーズ(掘削⇒開発⇒生産)に携わることができる。プラントエンジでは、開発フェーズしか携わることができない。
エネルギーの安定供給という、非常に貢献度の高い仕事ができる。プラントエンジでは、生産設備の建設しかできない。
プラントエンジニアリング業界への対策
プラントエンジ業界の面接では、「なぜ、プラントエンジを選ぶのか」「なぜ、プラントエンジの中で当社を選ぶのか」を問われます。
こちらも必ず聞かれますので、事前に準備しておきましょう。
プラントエンジ業界を志望する学生は他に、「重工メーカー」「化学メーカー」「自動車メーカー」「エネルギー企業」など幅広い業界を見ることが多いので、ピンポイントで「石油開発との違い」を聞かれる可能性は低いです。
参考までにプラントエンジの魅力の一例を紹介します。
プラントエンジ業界では、自分の専門分野を極めることで、その分野については第一人者になることができる。逆に、石油開発企業では「詳細な技術力は極めること」は一般的には難しい。
技術者になるためには、プラントエンジに入社したい。どちらかというと、石油開発はマネジメント要素が強い。
まとめ
就活生からも大人気の「石油開発業界」「プラントエンジ業界」の違いを「業務内容・規模・給料・勤務地」の観点から解説しました。
いかがだったでしょうか。ぜひ参考にしてもらえると幸いです。